そして、「やると決めたことはやる」「目標は必ず達成する」という強い姿勢で走り続けました。仕事が終わると午前1時、ということなど日常茶飯事でした。
気がつけば創業10期目に売上40億円超、経常利益が4億円超になりました。
ものすごい一体感だったのでしょうね。
実は、そうでもなかったのです。
幹部をはじめ社員達は皆、「Nobleな対応をお客様一人ひとりに提供する」という経営理念の実現、そして業績目標の達成も同時に追いかけていたのですが、その過程で大切なことを知らず知らずに置き忘れていたように思います。
と言いますと…。
「社員の気持ち」です。
当時、社員が退職する、という事態が続けて発生していました。精神的にギリギリだったのでしょう。
私も幹部陣も相当悩み、葛藤をしました。社員が辞めていく一方で、業績も追いかけていかなければならないわけですし。他責にしたい気持ちが生まれる一方で、他責にしても結局何も解決しないという思いなどが入り乱れました。
そんな中幹部から、「相手を思いやる、感謝する、といった文化を根付かせていくべきではないか」という提案がありました。自分達の態度を真摯に内省した上での結論だったでしょうし、私にとっても深く響いた提案でした。
福井社長もそういった問題意識をおもちだったからでしょうか?
私の実体験とオーバーラップしたのです。
実は私は、以前高校野球部監督を務めていた頃、当時の3年生から練習のボイコットを受けたことがありまして。
ボイコットですか?
そうです、ボイコットです。練習に誰も来ないのです。
かなり腹ただしい思いをしました。しかし、一方で考えさせられました。
私は試合に勝ち続けるために選手達を徹底的に鍛えました。「しごいた」と言ったほうが適切かも知れません。いわゆる「鬼監督」ですね。とにかく選手達には厳しく接しました。
ただ、勝ち続けようとする姿勢やそのために徹底して練習する、ということ事態は決して間違ってはいなかったと思います。しかし、何かを置き忘れていたのです。その時と同じことがまさに当時のノーブルホームに起こっていたのです。
業績目標の達成に向けた厳しい態度だけではなく、それと合わせて必要な「何か」なのですね。
そうです。そもそも、お客様にご満足いただく対応を、もっと言えば「感動いただく対応」を実現していくためには、社員が満足、さらには感動するような環境が必要でしょう。
「何故こんなに忙しいんだろう?」「私はこんなに忙しいのに、あいつは何をやっているんだろう?」「こんなに一所懸命に仕事をしているのに、何故上司に怒られなければいけないのだろう?」といったネガティブな考えが心の中にある間は、目の前のお客様に意識を100%集中することはできません。
相手を思いやる、感謝する、といった文化は社員を温かい気持ちにさせるものですし、気持ちが満たされれば満たされるほど、お客様に意識を向けていけるようになるものです。
「社員感動満足なくして顧客感動満足はない」のだと、幹部の提案を聞いて強く気づかされました。