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周囲を見回しても成功例がない中で、着実に一歩ずつ進まれてきたわけですね。
私たちは創業当初、業界の常識をひっくり返しました。それまでの伝統ある建設会社ができなかったことを始めたから、こうして30年事業を行うことができているのです。今や建設業界においては、これまでのやり方では上手くいかない部分が大きくなってきました。だから、打って出なければなりません。守りに入って蓄積を食い延ばすのか、打って出るのか。私は後者を選びました。
多くの人は「今の安定した状況を確保して、かつ、新しいことも上手くいけばいい」と思っています。だから中途半端なもの になってしまうのです。そうではなく、人生において代え難いものは全精力をかけてやるべきです。自分に大事にしたいものがあると、守りに入ってしまいます。しかし、今まで守り抜いてきたものは、それこそ無にしてもいいから、新しいものを掴み取る、という気持ちでやらないといけません。
創業当初からそういった精神を持たれていたわけですね。その精神を今もなお持ち続けるのはなかなか容易なことではないと思いますが…。
創業した時には、会社の10年後の状態を思い浮かべます。誰でも、創業の時はそうではないでしょうか。しかし、大事なのはそれからです。凋落していく企業は、何年か先のことを、きっと創業の時だけ心配したのでしょう。そうではなく、毎年毎年会社の10年後を心配しないといけません。今、ある程度の利益が出るようになっても、10年後にどうやって利益を出すかということを考え続けないといけません。
ちょっと上手くいったからと言って、そのシステムがいつまでも上手くいくわけではありません。創業をやり続けること、これに尽きます。私はいつまで経っても安心できません。2、3年上手くいったからと言って安心して喜んでいる人がいたとしたら、「今のままで10年後も利益を出し続けることができるか」と自問自答をするべきでしょう。
今、建設業だけではなく、いろいろな業界でそれが問題になっているのではないでしょうか。長い歴史を持つ企業ほど、長い歴史が足かせになって身動きがとれなくなってしまっています。100年の蓄積があることが逆にマイナスになっています。これでは、業界の常識をひっくり返すような発想が出てきません。
野球の松井選手は、数年前、メジャーに行かずに日本国内に留まることもできました。しかし、彼はメジャーに打って出たのです。それは彼にとって日本で最高峰になることが終点ではなかったからではないでしょうか。消化試合をしたくなかったからです。アメリカに行けば、彼がとても敵わないと感じるような選手がゴロゴロしている。それでもメジャーに行きました。チャレンジをして達成感を感じたかったのでしょう。今まで得たものを後生大事にするような価値観を持っているような人であれば、「何を無謀なことを」と思うかもしれませんが、おそらく彼は自分が子供の頃から大リーガーになるということを考えていたのでしょう。
私も人生の最終コーナーで、とても手が届かないようなことかもしれないが挑戦したいと思います。それが今行っている事業です。この構想を短期間のうちにどうやって実現しようかと考えたら、人の力を借りないといけない、つまり、ネットワークを組まないといけない、だからITGネットワークを組むことに決めました。これによって、業界の常識を打ち破りたかったのです。
私は今、57歳。もうすぐ時間切れのところに来ています。学校のテストと一緒で、制限時間があります。制限時間の60分を過ぎたらもうできることはありません。だから、制限時間内にしっかりとやれるべきことをやっておきたい。人生であれば第4コーナーを廻ったところです。その時、これまでの経験を出し切って、いわば、総集編を作って充実感を得たいと考えました。しかし、多くの人は「このまま終わればいいや」と消化試合になってしまう。第4コーナーで無理をしたら、それまでせっかく良いペースで来ているのに倒れてしまうかもしれないが、それはそれで自分の能力不足だったと笑い飛ばせばいい。流してゴールに入り涼しい顔をしているのは嬉しくない。それが自分という人間です。
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