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「考え方」というのは、日常の会話を通して伝わっていくものだ、ということでしょうか。

そう思います。「技術」は、Off-JTを通して体が理解し、OJTによって自分のものになっていきます。これと同じように、「考え方」もOff-JTを通してその大切さに気づき、あとはOJT、つまり日常の会話を通して自分のものになっていくのだと思います。

もちろん、「大切な考え方」が既に組織に定着していれば、Off-JTではなく、日常の会話だけで気づかせ、浸透させていくことは可能でしょう。

以前勤めていたトヨタ自動車では、「三現主義(現地、現物、現実)」「人間尊重」「何故を5回繰り返す」といった考え方は、特別にOff-JTの場で学ぶわけではなく、ごく普通の日常会話から学んだように思います。

日常会話と言ってもほとんどは「問いかけ」です。

「お前は現場を見たのか?」「人間にしかできないことって何だ?」「ここのスピードを一気に上げるためにはどうすればいいのかな?」といった問いかけを通して、考え方は伝わっていくのです。

ですので、トヨタ自動車の中では、極めて「普通」なのです。そういうことにトヨタ自動車を離れて初めて気がつきました。

まさに「DNA」ですね。

そうですね。今思うと確かにトヨタ自動車ってすごいと思いますよ。

例えば、問題を発見する上では「現状把握」は欠かせませんが、その「現状」に対する感度というのがすごい。

「小麦の値段が上がっているようだ。そうなると自動車事業にどのような影響が出るのだろうか?」といった問いかけがオフィスでも製造現場でも普通になされている。世の中の様々な出来事について、「自分達にどんな影響があるのだろうか」ということを考える習慣づけが日常会話を通じてなされている。

普通ならつい素通りしてしまうような「あっちの岸」での出来事が、トヨタ自動車では「こっちの岸」なんですよね。そうやって幅広く思考を広げ、深めていける人材が、研修ではなく職場での会話を通して育っていくのです。

天竜精機でも始めています。
まずは私が新聞のスクラップ記事を集めて、そこから何が見えるのか、を書いて、掲示板に貼ったりするところからですがね。

プロジェクト活動以外に、考え方を日常会話に溶け込ませる取り組みにはどのようなものがありますか?

コミュニケーションの仕組みを変えていこうと思い、「朝礼」や「製造現場での進捗管理のあり方」などを変えました。

ビジョンブック制作に先駆けて、2005年に「行動指針」を策定したのですが、課長職の社員には毎日、社員の誰かとこの行動指針の実践例や、今日や明日何をするのかと言ったことをインタビューしてもらっています。

自分の体験の中に行動指針を発見することが、指針の共有と浸透につながると確信しています。
また、製造現場での業務進捗が目に見えるようにグラフ化することも奨励・徹底しています。

「ゴールに対して今はここだね」「少し遅れが出ているようだけど、どうする?」といった問いかけが日常会話の中に生まれるきっかけになりますし、こうした問いかけを通して「お客さまとの約束を守るために誠を尽くす」「お互いに相談し合い、助け合う」「できない理由ではなく、どうしたらできるかを考える」といった考え方の共有・浸透につながっていくと信じています。



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これからの取り組みについては?

今、新たに発足したプロジェクトに「社史編纂プロジェクト」があります。社史と言っても、お堅い辞典のようなものではなく、小学生でも楽しく読めるような10~20ページ程度の小冊子をイメージしています。

実は、天竜精機は間もなく創業50周年を迎えますが、私自身が知っているのは直近5年間に過ぎません。それに、会社の業績が安定してから入社した社員の割合も高くなり、創業時はもちろんのこと、この会社が経験してきた様々な荒波やそこから生まれた先人の知恵を知る術がないのです。

それらは私を含め社員にとって間違いなく財産ですし、歴史を調べる過程でプロジェクトメンバーは、会社に対する愛着が高まると思います。社史編纂にはそのような狙いを込めています。

そして今年9月には、その発表会を予定しています。

社員はもちろん、ご家族やOB・OG、そして株主や取引先なども招待し、「天竜精機とはどのような会社なのか」について理解をして頂き、関心を高めてもらえれば素晴らしいことだと期待しています。

先の「リクルーティングプロジェクト」でも昨年8月に発表会を開催しました。プロジェクトメンバーの努力の甲斐もあり、会社の雰囲気も変わりました。経営者の務めのひとつは 社員に発表の場を設けることじゃないかって気付かされた思いです。

とにかく想い・価値観を同じにする社員をどんどん増やしていきたいと思っています。「主体性が高く、成長したいと感じる社員が多い会社」「社員が成長できる“場”と言える会社」が「いい会社」だと思っていますので。



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