最近、大阪に新しく出店されたそうですね。
ええ、そうです。元々は東京の新宿を拠点としていましたが、昨年の11月に大阪の心斎橋店がオープンしました。心斎橋という立地は、当社の事業を行う上で必要なお客様の層が4つ揃っていたのです。1つ目は「若者が集まる街である」ということ、2つ目は「百貨店を利用するセレブ層、主婦層が集う街である」ということ、3つ目は「ブランド品が好きな水商売をしている方が集う街である」ということ、そして、4つ目は「質屋業において非常に重要な役割を果たす外国籍の方が多い」ということです。
これらの点で心斎橋は新宿と非常に似ている立地であり、以前から出店を検討していました。今のところ、心斎橋は新宿よりも外国籍の方、または、観光者の方が多い印象を持っており、確実に手応えを感じています。軌道に乗ってきた段階です。「東と西の両方に拠点を築きたい」という想いが前々からあったものですから、とても嬉しく思っています。
どちらもとても目立つ立地ですね。

ええ、そうですね。「知名度を上げること」がこのビジネスにおいては必要不可欠なのです。そのためには、メジャーな立地で勝負していかないといけません。西ではまだまだ知名度が低いので、これからが勝負です。逆に、東では、着実に知名度が上がってきた実感を持っています。同業他社が立ち並ぶ新宿において「新宿のブランドリサイクルショップと言えば銀蔵」というレベルになってきました。「新宿の質屋と言えば?」と誌上アンケートをとったら、8割くらいの方は「銀蔵」と答えるのではないかと自信を持っています。最近の話ですが、新宿を題材にしたマンガに新宿2号店の看板が描かれていました。そんなところからも、少しは新宿のシンボルらしくなってきたのではないか、と感じています。
業績も上向きなのでしょうか?
お蔭様で、2号店の売上は前年対比110%を超える勢いですし、他の店舗も好調です。
これまで順調に成長を遂げられているように思えますが、一方でこれまでどのような試行錯誤をされてきたのでしょうか?
これまで決して順風満帆というわけではありませんでした。4年前に1号店がオープンして以来、私は、可能な限り速いスピードでの成長・拡大を望んでいました。新宿という場所でのドミナント形成を早期に行うことが戦略上、非常に重要だったからです。
しかし、そこに「人」という壁が立ちはだかりました。店舗を安心して任せられる人材がスピーディに育っていかない、自分の想いを具現化してくれるような人材がなかなか集まらない、という問題がありました。
具体的にはどういうことでしょうか?

人を採用・育成する上で業界固有の問題があったのです。それは、私が以前からブランドリサイクル業界に対して抱いていた問題意識にもつながります。この業界は未だに職人気質の強い方が多く、顧客志向が不足しているのです。例えば、ブランド品の買取の場面を想像してみて下さい。お客様にとっては強い思い入れのある品物を売ろうとされている…その査定をする際に、お茶を出すこともない、ずっと立たせたまま…このようなことがまかり通っていたわけです。しかも、未だにこれまでのやり方をなかなか変えようとしない保守的な人が多いのです。
私がやりたいのは、一言で言えば「サービスの参入障壁をつくる」ということです。圧倒的なサービスレベルの高さによって、他社が追随できないような差別化を図ろうとするものです。そう難しいことではありません。他のサービス業と同じように、当たり前のサービスを当たり前に実践することができれば、お客様に大きな価値を提供できるはずなのです。
そして、そのために必要なのは、「固定概念に囚われない考え方のできる人材」なのです。
なるほど。そんな中、どうやって突破口を開いていったのでしょうか?
業界の経験者を採用するのではなく、新卒採用に積極投資しました。未経験者として入ってくるから、「ブランドリサイクルだから○○」という固定概念がありません。その分、斬新な発想が期待できます。教えたことも素直に頭の中に入っていきます。
新卒採用をスタートしてから3年が経ちますが、1期生は今や本店の店長を務めるまでになりました。今回の大阪出店においても、銀蔵生え抜きの社員を店長に大抜擢しました。今年は創業以来最大の14名の採用を予定しています。これも固定概念に囚われない新卒社員の活躍があったからであり、嬉しい限りです。
その分、教育には相当力を入れていらっしゃるのではないですか?
ええ、そうですね。教育には力を注いでいます。新卒には内定段階の11月頃から「炎の勉強会」という合宿形式の研修を実施しています。割と体育会系のノリで徹底的に皆で勉強するから、このようなネーミングになったわけですが(笑)。「社会人として」という気持ちに関する内容、「ブランドリサイクルとは何ぞや」という業界に関する内容、「仕事とは何か」「チームワークとは何か」…これらについて泊り込みで徹底的に伝えます。当然、社長である私も直接教えます。
その上で基本業務や商品知識を身に付けてもらうと、何もしない時に比べて効果が格段に違います。4月に入社する時点では「即戦力」と言ってもいい程でしょう。今でも月に3回は勉強会を開催しています。大阪新店の立ち上げメンバーも既に新卒が3名入っており、皆、熱いものを持ってやってくれています。
「固定概念に囚われない発想」はどのようなところに活かされているのですか?
特にお店のイベント内容に活かされているのではないでしょうか。これまでになかったようなさまざまな企画を実施してきました。例えば、着物を着て新宿の街を練り歩くキャンペーン…なんてのも行いました。
面白いプロモーションのアイディアは今はほとんど現場のメンバーから出てきています。そして、その中核を担っているのが固定概念に囚われない発想を持った生え抜き社員なのです。