現場を活性化させる仕組みづくり…その具体的な取り組みについて教えて下さい。

さまざまな取り組みがあるのですが、一番肝になるのは「チーム制」です。最もイメージして頂きやすいのは京セラのアメーバ組織だと思います。若いとき、京セラと稲盛氏の経営に興味があっていろいろ勉強していたことがありました。社長就任当時、私は「現場をもっと活性化させるためにはどうすれば良いだろうか?」というテーマについて毎日考えていましたが、ある朝目が覚めたら神様がささやいたのです、「チーム制だ」と(笑)。きっと昔勉強していたことが潜在的に頭の中にあって、降りてきたのでしょうね。思い付いたその日に企画案を作って、翌日にはもう社員に話していましたね。
チーム制というのは、どのような仕組みなのでしょうか?
チームは一つのテーマを役割分担しながらやり遂げるプロジェクトチームです。大体5~6人が一つの単位となります。今、大体200くらいのチームがあるでしょうか。正式な組織図で言えば、「事業本部」があり、その下に「事業部」、その下に「BU(ビジネスユニット)」、その下に「グループ」があり、さらにその下に「チーム」があります。BUのマネージャーや、グループリーダーが自発的にチームを組むのです。
チームにはルールがあるのでしょうか?
チームにはリーダーが必要です。それ以外は何でもいい。とは言え、チーム制をやろうと言い出したときに、狙いやどのように運営していくのかについてはしっかりと伝えました。当初は、130~140くらいのチーム数がありましたが、チームの狙いや目指す状態をチームリーダー一人一人と語り合いました。全体でチーム制の説明会を開催しようか、というアイディアもありましたが、それでは上手く伝わりっこないと感じました。全体の場で話をしても「自分のこと」として捉えてもらえないからです。私は、一人ひとりに責任感を持って欲しいと思っていました。
京セラのアメーバ組織もそうですが、ただ仕組みを作っても上手くいくものではないと思います。運用する際の精神性が大事で、魂がこもっていないと真似できないものです。最初は、毎週土曜日に1人1.5~2時間掛けて、1日5人ずつチームリーダーと面接していました。「チームが増えることによってKSKは成長していく、チームは会社の成長のエンジンである」、「チームリーダーは、言わば、ベンチャーの社長である」…こういったメッセージを一人ひとり伝えていくのです。小さい組織に分ける狙いはいくつかありますが、その一つは「個人の活性化」です。チームリーダーは、一つの組織を任されるわけですから、やる気が出てきます。メンバーも、自分がどれくらい売上や利益に貢献しているのか、どれくらい頑張っているのかが数字で分かるようになり、それが仕事のやりがいに結びついていくわけです。
もう一つの狙いは「問題の見える化」です。例えば、100人で原価率80%の組織があったとします。でも内訳をよく見てみると、5人で原価率10%の仕事をしているチームもあれば、赤字のチームもあります。100人単位で見ていると、これが見えなくなってしまいます。100人単位で「原価率を1%改善しよう」と言っても、なかなか手が打ちにくいのです。しかし、組織を小分けにすると問題が見えてきます。「このチームの仕事振りは素晴らしいからやり方をよく見てみよう」とか「赤字のチームは何とかしよう」とか、鮮明になるわけですね。小さい組織は、このようなメリットがあるのです。
アメーバ組織の基本原則を忠実に踏襲されているのですね。

そうですね。収益額、利益率、売上の成長率、時間当たり生産性…このような定量的な指標を共通で使うようにしています。このような仕組みは走り始めてから段々と整備していきました。
実は、当社の社是は「敬天愛人」なのですが、これはたまたま京セラと同じなんですね。京セラの稲盛さんも当社の創業者も鹿児島出身なんですよ。私はそのことを全く知らずに入社したわけですが、強い縁を感じました。
当社の社員が持っている名刺には、「Team KSK」と書いてあります。これは、「チーム一丸となって一致団結してやっていこう」というメッセージであるとともに、「チーム制」をこれからもKSKの成長にとっての基盤にしていこうという意思表明にもなっているのです。