一人ひとりとの直接的なコミュニケーションを大事にされているのですね。
当社の特徴的なところは、社員が一緒に仕事をする機会が少ないことです。規模の小さな会社であれば、同じフロアに社長、役員、部長、一般社員がいてすぐにコミュニケーションをとることができます。しかし、当社の場合は、ある程度規模が大きくなってきましたし、クライアント先に出向いているメンバーが7割を超えます。拠点も分散しています。そのような職場環境においては、私は1対1のコミュニケーションにこだわりたい。何十人も集めて訓辞を垂れるのも良いのですが、人数が少ない場であればあるほど、相手に伝わるものがあると思います。
そう考えると研修の場を上手く活用して、社員に思いをぶつけるのが良いのです。できるだけ意識して触れ合う機会を多くして、相手と距離を近くする、あるいは、メッセージを伝える機会を増やしています。すると、「熱が伝わる」「皮膚感覚が伝わる」「体臭が伝わる」。なにしろ、社長である私が開発の現場に行くと、せっかくの高い生産性を妨害してしまいますからね(笑)。コミュニケーションをとる際には、単に言葉だけ伝達しても意味がありませんから、言葉に思いや熱意を乗せるように心掛けています。ハートに響かなかったら、アクションとして返ってくることもないでしょう。その人も結局変わりません。私がしっかりと思いを伝えることができれば、その社員は私と同じことを話すようになります。それが他にも広がっていくのです。
なるほど。言わば、社長はご自身の「分身」づくりをされているのですね。
そうだと思います。考えを浸透させることに時間を使っているということです。何か組織に考え方を浸透させようと思ったら、大事なことは「社長がそのことを口を酸っぱくして言い続けていること」と「言行一致」だと思います。例えば、「皆、真面目に仕事しましょう」と言って、社長が毎晩銀座に行って酒を飲んでいたら誰も言うことを聞かなくなります。だから、普段から言っていることと行動が違わないようにする。すると、段々、「あの人は本気なんだ」と社員は感じてきます。考え方を伝える上ではそれが一番大事です。社員は社長の真似をします。子が親を真似るように、発言や行動パターンを真似します。それだけ社員は社長のことを常によく見ています。逆にそれがチャンスなんです。

最近では「KSKの特徴は?」と外部の方に聞かれた際に、社員の口からも「当社は教育熱心である」という答えが出るようになりました。これまで取り組んできたことが、浸透してきたのだと感じています。会社から「もっと勉強しよう」いうメッセージが発信されて、社員も「もっと勉強しないと」という気持ちになってきたということです。そうして「自分たちは大切にされているのだな」と思ってもらえたら嬉しいですね。
本日は貴重なお話をありがとうございました。