そうして、取っ掛かりとして始めたのが「ワークショップ」です。幹部、一般社員、アルバイトの中から希望者を募って実施しました。時にはFCオーナー様にも参加してもらいました。そこで「サブウェイは何のために事業を行っているのか」というテーマで議論したのです。実にいろいろな意見が出てきました。「もっと“野菜”というキーワードを前面に出そう」、「常に“笑顔”が溢れている店舗にしよう」…これらの意見を発散し、そして、集約することで「サブウェイの持つDNA」をプロットしていきました。このチェーンのブランドステートメント自体を作り変えるべく、議論を尽くしていったのです。
根本から議論をされたのですね。
ええ、そうです。サブウェイは元々はアメリカのチェーンですから、そのブランドステートメントを設定し直すことに難しさはありました。しかし、全世界共通のスローガンである「eat fresh」という言葉一つとってみても、いまいち会社の中で馴染みのある言葉になっていなかったのです。私たちに必要だったのは「心の中から湧き出てくる言葉」でした。この重要性に気付かない限り、たとえ商品構成を変えても、PRの仕方を変えたとしても、本質的には変われないでしょう。

そうして最終的に出来上がったのが「ブランドブック」です。企画会社やデザイナーの方の協力を頂きながら、ようやく今年の1月に発表することができました。一旦完成した後にも、社員やアルバイトに見せて再度アイディアをもらい、マイナーチェンジを繰り返しています。
どのような内容なのでしょうか。
例えば、ブランドブックには議論の中で皆で決めた「ブランドステートメント」が載っています。それがこの言葉です。
Subway Statement わたしが目指すもの
「わたしたちは、環境に配慮し、
人々のからだとこころの「健康」に貢献する
新しいファーストフード文化を創造していきます。」

「ブランドステートメント」を補完するための「ブランドボイス」というものもあります。
「この瞬間のおいしいを、あなたのために。」
これらはサブウェイに関わる人たちの言葉の結晶です。
なるほど。特に工夫されている点、こだわった点はどのようなところでしょうか?
そうですね。全て「わたしの~~」という一人称の表現で統一されている点でしょうか。「わたしの場所」、「わたしがココロにもっているもの」、「わたしのサービス」…というように「わたし」をキーワードに据えたのです。これは、一人称で考えて行動する社員、つまり、「誰か」にやってもらうのではなく「わたし」がやる…そんな気持ちを持った社員になって欲しいという意思を込めています。
社員やアルバイトの反応はいかがでしたか?
とても気に入ってくれています。特にアルバイトが気に入っているようですね。かわいい装丁にしましたから、最近では、ブランドブックの裏に名前を書いて常に携帯している方も多いと聞きます。愛着を持って使ってくれているのだと思います。
これをきっかけにもっともっとサブウェイという会社、あるいは、サブウェイのサンドイッチを好きになって欲しいですね。社員として働くだけではなく、アルバイトとして働いたり、就職活動中に会社説明会を聞きに行ったり、何らかの形でサブウェイに関わる人はたくさんいます。結局のところ、そういった人たちにサブウェイを好きになってもらえているかどうかが非常に大事だと思っています。例えば、「アルバイトとして働いていたけれども、一度辞めてしまったらサブウェイのサンドイッチは食べない」…これは「本当は好きではなかった」ということですよね。私たちはサブウェイを本当に好きになってもらうことを目指しています。そして、その人の人生において、サブウェイはいつもそばにあって、日常の中に溶け込んでいるという状態を目指していきたいと思っています。
その最初の第一歩として、このブランドブックが機能してくれればと思います。その象徴的な言葉が最初のページにある「I Love SUBWAY」という一文です。アルバイトが「どんなところで働いてるの?」と聞かれたときに、「私はこんなお店で働いてるのです」と誇りを持って答えられる…そんな活用の仕方をしてくれたら嬉しいですね。